学内に悪い噂 それでも特別な存在  

「主に女性問題。はっきりとした証拠や訴えがあるわけではなく、あくまでも噂の域を出なかったが…」。
同大関係者は、こう声を潜める。妻子ある身の内柴容疑者。本当ならば、指導者として好ましい話ではない。  
内柴容疑者を知る柔道関係者も「現役時代から、変わっていない。真偽は不明だが、女性関係の噂何度も聞いた」と証言する。
 
さらに、大学関係者によると、日頃から学内の駐輪禁止場所にオートバイを止めるなどしており、
マナー違反を大学側から度々、注意されることもあった。  

それでも内柴容疑者は、大学にとって特別な存在だった。
知名度も実績も、指導者としての実力も、内柴容疑者に代わる人物はいなかったからだ。  

内柴容疑者の懲戒処分に踏み切った同大の二塚信学長も「著名人注意しづらい部分があった。
(セクハラの)噂は以前からあったが、確認できなかった。指導が甘かった」と記者会見で認めた。  
筋肉バカの壁


美徳?悪弊? 柔道界の厳しいオキテ  

「柔道界には、一部で、強いやつは何やってもいいという風潮があるのは事実。
(内柴容疑者が卒業した)国士舘大学は、上下関係が厳しいことで知られている。
そうした風土が、間違った形で染みついていたのだろうか」  

別の元柔道選手は、こう話す。心身の強さを追い求め、先輩後輩の上下関係を尊重する。
武道の美徳ともいえるが、逆にマイナスにはたらいているということなのか。  

「大学の運動部には、『先輩の言うことは絶対』というような風潮が散見される。
今回の事件は、そうしたパワハラ行為の一環ではないか。内柴容疑者だけの問題に矮小(わいしょう)化せず、
関係者は反省すべきだ」。スポーツライターの玉木正之氏は、こう指摘する。  

今月8日、内柴容疑者に熊本県から授与された2つの県民栄誉賞の取り消しが発表された。
名誉も信頼も指導者の立場も、すべて失った“郷土の英雄”に、おごりや油断はなかったのか。
国士舘大学


産経新聞